ゴリラのココは本当に手話で会話ができるのか - その4 死が子猫する

テラスたちは、映像のあら探しばかりをしていたわけではありません。類人猿たちの発言の記録を分析し、類人猿たちにはもっと致命的な問題がある、彼らは文法を理解できないという結論にいきつきました。

…文法って…be動詞の活用とか三単元のsとかそんなに大事か?サルにそこまで求めるか!?俺だってよく分かんねえよ!!とぶち切れたくもなりますが、そんなに難しい話ではなくて、言葉の順番が持つ意味を理解できないということです。

例えばテラスたちが研究していたチンパンジー、ニム・チンプスキーが行った2語の手話です。
  • Nim eat (ニム 食べる) - 頻度 41%
  • eat Nim (食べる ニム) - 頻度 59%
でほぼ半々、つまりでたらめです。英語の文法的に言えば前者の「ニムは食べる」はともかく後者は「ニムを食べる」なので、困ったことになります。

しかし、ワショーの話し相手は「私に食べさせて」という意味で「食べる 私 (Eat me)」を使っていました。その可能性は?

これは単語が3語4語と増えていっても語順はでたらめだったので、ワショーの話し相手のケースとは別でしょう。例えばニムの3語の手話です。
  • eat me Nim (食べる 私 ニム) - 頻度 24%
  • eat Nim eat (食べる ニム 食べる) - 頻度 23%
  • Nim me eat (ニム 私 食べる) - 頻度 14%
  • eat me eat (食べる 私 食べる) - 頻度 11%
  • me Nim eat (私 ニム 食べる) - 頻度 11%
  • Nim eat Nim (ニム 食べる ニム) - 頻度 9%
  • eat Nim me (食べる ニム 私) - 頻度 8%
多少、最初の2つを好んで使うようですが、ほぼでたらめに組み合わせていると言えます。

…んー、でも分かるやん?どれも「ニムは食べる」って言いたいんだろ?それくらい許してやれよ!と思いたくもなりますが、それでは次のような文は?
  • Dog bite snake. (犬 噛む ヘビ)
  • Snake bite dog. (ヘビ 噛む 犬)
  • Bite dog snake. (噛む 犬 ヘビ)
  • Dog snake bite. (犬 ヘビ 噛む)
どれも同じ事象を伝えようとしているのですが、「犬がヘビを噛んだ」のか「ヘビが犬を噛んだ」のか、あるいは「犬とヘビを噛んだ」のか「犬とヘビに噛まれた」のか、見当がつきません。私たちが「ニムは食べる」と分かったのは、自分を食べることはできないからであって、どれもありえる場合にはとたんに困ってしまいます

このように何かを伝えようとするときには、語順は非常に重要になってきます。語順の意味を理解していないということは、おそらく話し相手の語順の意味も理解していないということです。ニムは、ほとんどの場合、話し相手が言っていることを正しく理解できていなかったのでしょう。

ココも同じ問題を抱えているのは、以前もご紹介したとおりです

ココは他の全てのチンパンジーと同様の語順の偶然性を持ちながらそこに座っていた。
ロバート・サポルスキー (Robert Sapolsky)

ココが「子猫が車にひかれた」を理解できたのは「車が子猫にひかれた」りはしないからで、「子猫が死んだ」を理解できたのは「死が子猫する」ことはありえないからかもしれません。

あるいは邪推すると、そもそも理解していなかったのかもしれません。先日ハッピーホリデーの写真に登場していたロンさんによると、「ココに伝えたとき、ココは10分間も聞こえないふりをしていた」と言っています。その後、泣き始めたとのことですが、この10分は周囲の雰囲気からココが状況を察するまでの時間だったのかもしれません。

年末のごあいさつ

2013年12月31日 , コメント 0件 , 日記
相変わらず一日10人も来ないブログですが、見てくださってる方々への感謝の気持ちをこめて、この一年のアクセスランキングです!実際は2ヶ月弱なんですけど!
  1. ゴリラの死生観 (カテゴリ)
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前回と違って同率がなかったのでなんとか10位まで発表できました!ちなみに、今回は総アクセス数の半分を稼いでくれている業者は除外しました!

前回上位だった子猫関連の記事はランク外へ、代わりに死生観がトップに躍り出て、なによりココの会話能力を疑う記事が猛烈な勢いで追い上げています。…みんな…みんなそんなにココちゃんが憎いのかー!

4位は「ゴリラ 共感」で検索されてこられることが多いようで、中身は他サイトご紹介だけなので心苦しいものがあります…。内容を充実させるとかしないと申し訳ない気もします…。あとはジョーク、悪口、嘘もランクイン。ここらへんも充実させていきたいと思います!

個人的に思い入れのある記事はこのへんでした。前者はこうやってココの発言をまとめてみると、いろいろ言ってるんだなと感慨深いものがあります。後者はまじめくさった文章ばかり書いている中で思う存分ウンコウンコ言えたので大変満足でした。

結局年内に訪問者10人の壁を超えることはかないませんでしたが、内訳を見ているとスマホ版のページを見ている方が多いようで、スマホでウェブを見ない私はどう改善したらいいのか分からないので放置していたのですが、来年はなんとかしないといけなさそうです。

そんなわけで、今年一年というか2ヶ月弱ですが、ありがとうございました!来年もよろしくお願いします!

ココさんとパターソン博士からハッピーホリデー

本日ココさんの在籍する The Gorilla Foundation (ゴリラ財団、ゴリラ基金) のフェイスブックにハッピーホリデーの挨拶がアップされていました。

ハッピーホリデーとは何ぞやと調べたら、アメリカとカナダのクリスマスから年末にかけての休暇の挨拶だそうです。なんでもキリスト教の行事であるクリスマスを祝ってメリークリスマスではなく、他の宗教や他の民族の方々をおもんばかって宗教色のないハッピーホリデーという言い方をするのだとか。

正月に神社行って盆にお寺の坊さん呼んで結婚式は教会で挙げる私たちからすれば…とかこんな陳腐な話、多分みなさん文字どおり耳が腐るほど聞いてるでしょうから言いませんが、代わりにぜひ公式サイトのハッピーホリデーの挨拶をご覧になってみてください。

ちなみに、写真の中央と左はみなさんご存知ココさんとパターソン博士ですが、右のおっさんは?The Gorilla Foundation (ゴリラ財団、ゴリラ基金) の共同設立者ロン・コーン (Ron Cohn) さんで、みなさんのご覧になるココさんの写真や映像はほとんどこの方が撮影したものです。初期の頃からココさんの研究に携わっていましたが、当時はふさふさのほっそりしたイケメンでした。時は残酷です…!

そしてロンさんの頭より注目すべきは、メッセージの最後のココさんのサインです!過去のメッセージのサインを見てもどれも同じ画像なので、多分一度書いたら二度と同じものは書けないのだとは思いますが、直筆のサインが売りに出されてたら猛烈に欲しいです…!

というわけで、参考までに以下翻訳です。

私たち家族からあなたたち家族にハッピーホリデー

親愛なる友人へ

ココと私がGorilla Foundationで2013年を振り返ると、あなたのようにココをとても気にかけてくれる特別な友達、ココの声を世界に広めることで私たちと一緒に精力的に働き、ココが彼女の希少な種を救うのを助けてくれている友達がいることに、私はとても感謝しているのだということに気づきます。しかし、まだ2014年にすべきことはたくさんあります。

悲しいことに、ゴリラはこれまでのたったの三世代で80%減少しました。これは一度は世間の人々がこれら「森の人々」に持っていた、特別な共感が消え失せたからです。今日では、ゴリラは食用肉 (ブッシュミート) でしかないと考えられています ── そして、彼らは文字どおり食べ尽くされようとしています。ココは希望の象徴です。彼女は生まれついての代弁者です。助けを必要としていることを私たちに伝えられる、世界で唯一のゴリラです

ココを助けることによって、あなたは彼ら全てを助けることになります!私たちは、助手を雇うための新年の募金の必要性に迫られています。それによって、私たちはもっとゴリラたちに時間を費やすことができるようになります。私たちにしかできないこと ── 革新的な方法で彼らとコミュニケーションをとり、これらのすばらしい存在についてもっと理解することによって!

あなたがすでに思いやり深い年末の贈り物をしてくださっていたのなら、大変感謝します!しかしまだでしたら、所得控除が可能な特別な年末の贈り物を今すぐGorilla Foundationにしてくれるよう、あなたを頼れるよう願っています

あなたの思いやり深い贈り物は、ココが絶滅寸前の危機にあるアフリカのゴリラたちの保護を主張する力を与えます。ココと全てのゴリラたちは、あなたの危急の助けを必要としています。ココから学ぶかは私たち次第、今すぐに行動を!

あなたのすばらしい年末の休暇となりますように、
心からの感謝をこめて

ペニー・パターソン
研究理事長及び理事

ココ
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