ゴリラのココは全く話せないとする見解

これまでたくさんのココ語録を見てきましたが、猫を可愛がるのはまだしも死生観や人生の意味、神について語るまでになると眉唾物だと感じる方もいらっしゃると思います。

実際ココに限らず類人猿の言語能力には否定的な学者も多く、ココは全く会話できないとする学者もいます。以前ご紹介した「ココが嘘をついた話」を語った、スタンフォード大学の神経学者 (※1) ロバート・サポルスキー (Robert Sapolsky) もその一人です。

YouTubeでココの動画を見ていると、結構な割合でこの方の授業が関連動画として出てきます。自身も類人猿の言語能力を否定した、あのニム・チンプスキーとひと夏を過ごしたこともあり、パターソン博士とも話をしたことのある学者なので、この方の見解は非常に興味深いです。


全編に渡ってユーモラスな語り口調で言語について語っているのですが、あえてココに関連する話題、それもなぜココは会話をしていないのか説明する部分のみを抜粋しました。1時間36分あたりから始まります。

…それで、その時点の問題のひとつは、パターソン博士によってこれまでに公開された実際のデータがなかったことだ。あるものはただ、いくつかのココの心温まる映像だけだった。

科学者たちは、それから何の意味も読み取ることはできなかった。なぜなら、数字が全く無いからだ。実際に分析できるものは何ひとつなくて、それで映像を調べてみると、かわいそうだった。かわいそうでしかなかった。(※2)

ココはそこに座って、ひとつとして自発的な発話を生み出すことはなかった。ココは他の全てのチンパンジーと同様の、語順の偶然性を持ちながらそこに座っていた。ココにあった問題のひとつは、パターソンがココを (話すことを) 可能にしていたことだ。 (Patterson kept enabling Koko.)

彼女がココに「これは何と呼ぶの?」と聞いて、ココが完全に間違った手話を出すと、パターソンは言うんだ。「あら、ふざけるのをやめなさい!」

そしてパターソンは次の物を見せて、ココは完全に間違える。パターソンは言う。「あら、おかしなゴリラね!」

そして…(訳注: 生徒の笑い声が起こる)…私は本当に真面目だよ?

そして「今度こそ本気よ!」それでも間違えると「あら、ココったらずっと嫌味だったわ!」

何だって?あんたは何の話をしてるんだ?

自発的な発話や語順の偶然性など、この前から聞いていないと分からない内容もあるのですが、パターソン博士が行っているココとの会話の問題点についてはよく分かると思います。

ただし、サポルスキー博士が問題にしているのはココを含む類人猿が「言語」を話すかどうかということで、何らかのコミュニケーションをすることまでは否定していません。実際、博士がニム・チンプスキーに「くすぐって」とお願いされた話もしています。

そこで、そもそも言語とは何か、なぜココを含む類人猿は言語を理解しないのか、という難しい話になってくるのですが、何とか理解できた範囲で説明していければと思います。

とりあえず、
  1. ココを含む類人猿は言語を理解しない
  2. パターソン博士は、(誤用じゃない方の意味で) 恣意的にココの手話を解釈している
というのが今回の記事の結論です。

※1 以前はWeblio先生に訳してもらった「神経内分泌学」という謎の言葉を使ってたのですが、日本語版Wikipediaに神経学者とあったので直しました。ちなみに生物学者でもあって、人類学者でもあり動物行動学者でもあるそうです。
※2 この前からさまざまな実験で言葉を教え込まれた類人猿たちの話をしていて、そんなことできるはずもないのに類人猿たちがかわいそうだと何度も言っていました。
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