ココ (Koko, Hanabiko)
©2013 The Gorilla Foundation/Koko.org, Photographer: Ron Cohn, Koko Relaxes with her New Friend, Tiger
1971年7月4日、サンフランシスコ動物園生まれのメスのローランドゴリラ。身長154cm体重127kg。生後3ヶ月でパターソン博士と出会い、手話を教わった。1,000語以上の手話を理解し、約2,000の英単語を聞いて理解することができる。本名はハナビコ (花火子) で、日本語が由来。好きな食べ物は豆腐料理。ワニが怖い。嘘やジョークを言い、死生観や神についても語った。1984年から猫を飼っていたが、2003年を最後に猫とは暮らしていない。2013年現在、まだ子供はおらず、カリフォルニア州ウッドサイドの施設で暮らしている。
“やわらかい良い猫。”
── 飼っていた子猫を抱きながら行った手話。
“悪い…悲しい、悪い。”
── 飼っていた子猫が死んだと聞かされて。
“開いた不幸。訪れた哀れ。”
── 飼っていた子猫が死んだときにどう思ったか聞かれて。
“心地よい穴にさようなら。”
── または「苦労のない穴にさようなら」ゴリラは死ぬとどこに行くか聞かれて。
“年とり 病気で。”
── ゴリラはいつ死ぬのか聞かれて。
“穴を埋めること。”
── 何がココを不安にさせるのか聞かれて。
“ちくしょう!”
── パターソン博士が死ぬと思うか聞かれて。
“ごまかすのは悪い。”
── 「あなたの言ってることが分からない」と言ったパターソン博士に対して。
“かわいそうだと思う、出して。”
── マイケルが部屋に閉じ込められているのをどう思うか聞かれて。
“カーテンを閉めて…綱引き。”
── 悩んでいるときにどうしたら気持ちが楽になるか聞かれて。
“笑って…悲しい。”
── 悲しい映画を見ているときに何かしてほしいことはあるか聞かれて。
“ココは良い鳥。”
── ココのジョーク。
“これ。”
── ココのジョーク。
“食べる。飲む。もっと。”
── ココが一番最初に覚えた手話。
“オレンジ、それがいいね。”
── どの色が幸せな印象を持つか聞かれて。
“ビルが食べた。”
── 鉢植えの葉っぱを食べてしまい叱られそうになってついた嘘。
“何その花?”
── フレッド・ロジャースが着けていたカフスボタンを見て。
“そこのケイトが悪い。”
── 台所の流しを壊したのは誰か問い詰められてついた嘘。
“汚い馬鹿なトイレ。”
── お気に入りの悪口。
“お前は腐れだ。本当に腐れだ。”
── 話し相手に「いやなやつ」と侮辱されて言い返した言葉。
“悲しくて顔をしかめて泣く悪いワニ。”
── 嫌いなワニが悲しんでいる物語を喜んで。
“あかんべえ。”
── ピーナッツの殻を頭に乗せておどけた女性に対して。
“知らない。”
── ゴリラは人間の知らないことを知っているか聞かれて。
“ちくしょう、私はいい子。”
── 口げんかに負けて言った捨てぜりふ。
“人は礼儀正しくあれ。人は徳を持て。”
── 人生の意味について聞かれて。
“私。”
── 神は誰なのか聞かれて。
“誰か別の女性。”
── 誰が世界を創造したのか聞かれて。
“お勉強。”
── 何があなたを怒らせるの?と聞かれて。
“お腹、いいよこれ。”
── 人間とゴリラの違いは何か聞かれて。
“キャット・タイガー、猫は知ってる。”
── 猫のおもちゃの名前を聞かれて。
“ゴリラという者は、腹毛の動物である。”
── 鏡に映る自分の姿をのぞきこみながら語った言葉。
“いいゴリラ。いい子、いい子。”
── ひとり遊びをしているときに遊んでいたゴリラの人形に対して。
“ココは食べるのと…ちょっと飲むのが好き。”
── いつか子供を産むのかと聞かれて。
“リンゴジュース。”
── 好きな飲み物は何か聞かれて。
“顔をしかめる。悪い、悪い、悪い。”
── 旦那のンドゥメをどう思うか聞かれて。
“女、急いでそこへ!”
── ワニのおもちゃを女の人形に噛ませる遊びをしながら。
“すばらしい乳首。”
── 人とおしゃべりするのは好きかと聞かれて。
“にせものの歯、にせもの。”
── 怖がっているワニのおもちゃにびっくりさせられて。
“ココ好き、連れてきて。”
── 現旦那のンドゥメの姿をビデオ映像で見て。
マイケル (Michael)
©2011 The Gorilla Foundation/Koko.org, Michael's Story (Signing About his Mother)
1973年にアフリカ、カメルーンで孤児となっていたところを保護されたオスのゴリラ。身長182cm体重204kg。3歳頃スタンフォード大学に連れてこられ、ココとパターソン博士に手話を習った。600語以上の手話を理解し、物事を深く考え、前日に見た夢や孤児になったいきさつなど様々なこと話をよく語るゴリラだった。絵を描き音楽も好きな芸術家でもあった。2000年4月19日、心臓病で死亡した。
“鋭い雑音、大声で。”
── 幼い頃聞いた銃声を表現して。
“追う、追う、ゴリラ。する、赤くする。”
── 赤ちゃんの頃、家族を密猟者に殺されたことを語って。
“食べる。ゴリラをつぶす。”
── お母さんはどうなったのか聞かれて。
“出て行く歯、哀れだ。”
── 歯が抜ける夢を見て。
“ココ。”
── 作業着を破いたのは誰か問い詰められてついた嘘。
“大きな苦しみ、哀れだ。”
── 死ぬとどうなるか聞かれて。
“挫折して。”
── ゴリラや人はどうして死んでしまうのか聞かれて。
“笑う、いいね。”
── ココが困っているとどう感じるか聞かれて。
“笑って拍手、いいね。”
── ゴリラは人生についてどう考えているか聞かれて。
“噛みついたのを知ってる。赤が噛んだ。”
── 赤い髪の女性が殴りあいのケンカをしていたのを目撃して。
ンドゥメ (Ndume)
©2013 The Gorilla Foundation/Koko.org, Photographer: Ron Cohn, Portrait of Ndume, Koko's good friend
エンドゥーメイとも。スワヒリ語で「男」を意味する言葉。1981年10月10日、オハイオ州シンシナティ動物園生まれのオスのゴリラで身長182cm体重181kg。マイケルに代わるココの旦那を探すべく何頭かのオスのゴリラをビデオで見せた中からココに選ばれた。2013年現在、ココと一緒にカリフォルニア州ウッドサイドの施設で暮らしている。
“グルル。”
── 子猫のモモを近づけられて。
“グルル。”
── お腹がすいたのかと聞かれて。
“グルル。”
── 愛してると言われて。
※彼はただのゴリラです。
以下、ゴリラではないのですが、同じ類人猿のチンパンジーたちの語録です。
ヴィキ (Viki)
1947年、ヤーキーズ霊長類研究所で生まれたメスのチンパンジー。ヘイズ夫妻に人間の子供と同じように育てられ、言語障害の治療法に基づいて口で話すことを教えられた。1954年3月14日に病死。
“ママ、パパ、上、カップ。”
── しゃべること (発声) のできた、たった4つの言葉。
ワショー (Washoe)
1965年9月生まれのメスのチンパンジー。ガードナー夫妻により人間以外で初めてアメリカ手話を教わり、350の手話を学んで話すことができた。2007年10月30日死去。
“ワショー静かに、ワショー静かに。”
── 夜中にこっそり食べ物を盗もうとしていたときのひとりごと。
パンバニーシャ (Panbanisha)
1985年11月17日生まれのメスのボノボ (チンパンジーの一種)。カンジとは血のつながっていない姉。スー・サベージ・ランボー博士により特殊なキーボードを使用して会話することを学んだ。2012年11月6日に病死。
“けんか、狂った、オースチン。”
── オースチンの部屋でけんかがあったことを研究員に伝えて。
カンジ (Kanzi)
1980年11月28日生まれのオスのボノボ (チンパンジーの一種)。スー・サベージ・ランボー博士がマタタというメスのボノボに特殊なキーボードで会話することを教えていたところ、それを見ていた養子のカンジは教わることなく会話ができるようになった。450の単語を理解し、多少の英会話も聞いて理解する。
“驚いたか。”
── カンジが話すことに驚いていたアナウンサーに向かって。
ここに載せていいものか悩みますが、ゴリラやチンパンジーと同じヒト科ということで。
フランシーヌ・ペニー・パターソン (Francine "Penny" Patterson)
©2012 The Gorilla Foundation/Koko.org, Photographer: Ron Cohn, Get KokoMail
1947年2月3日生まれの心理学者。1979年にスタンフォード大学で「ローランドゴリラの言語能力 (Linguistic Capabilities of a Lowland Gorilla)」という論文で博士号 (Ph.D.) を取得した。ゴリラのココとマイケルにアメリカ手話を教えることに成功し、実験を通して様々な会話を行った。ゴリラの保護活動も行っている。
“そんな豚になっちゃダメ。”
── ぶどうを盗もうとしたココを叱って。
“その10億倍。”
── ココが初めて手話をしたときはヘレン・ケラーのような瞬間だったかと聞かれて。
レオナルド・ディカプリオ (Leonardo DiCaprio)
言わずと知れた映画俳優。ゴリラの保護活動家という一面も。
“他の星の生命体と話しているようだった。”
── ココと会って話をして。
ロバート・サポルスキー (Robert Sapolsky)
1957年生まれのスタンフォード大学の神経内分泌学博士。1978年ハーバード大学で自然人類学の学士号を首席で取得。ケニアでヒヒの研究をした後、ロックフェラー大学で神経内分泌学の博士号を取得した。チンパンジーのニム・チンプスキーに手話を教えるプロジェクトに関わったこともある。
“ココにあった問題のひとつは、パターソンがココを (話すことを) 可能にしていたことだ。”
── 授業でココの会話能力を否定して。
※ココ、マイケル、ンドゥメ、パターソン博士の画像は公式サイト The Gorilla Foundation/Koko.org の規約 Terms of Use にしたがって公開しています。
ほぼ全部の記事をカバーしていると思うのですが、抜けている部分は次号でということでご了承ください…!
こうして見ると、ココとマイケルの言葉はそこそこある一方、パターソン博士の言葉が意外と少なかったことに気づきました。手話のできる二頭を育てた方ですから、その苦労や知見をいろいろと語っているので、今後は増やしていこうと思います!
ココもマイケルもまだまだ話していることはたくさんありますので、次号くらいまでは発刊できそうな気がします…!
それとゴリラではありませんが、同じ類人猿のチンパンジーとオランウータン。彼らもいろいろと面白いことをたくさん話しているので、機会があればご紹介したいと思います!
カテゴリ: まとめ
The Gorilla Foundationの公式ページによると、ココちゃんの身長は5フィートと3/4インチだそうで、Google先生の換算による「1.54305 メートル」を採用しました。
日本語版Wikipediaなどで175cmになっているのは、5と3/4フィートで換算しているからだと思います。でも、182cmのンドゥメと一緒の映像や写真を見ても、そんなに背は高くないんじゃないかと思います…。
というか、何でアメリカはいつまでもフィートとかインチとか使ってるんでしょうね!
色々理由はありますが、「おフランス野郎が作ったメートルなんか使えるかい!」が最大の理由のようです。
とは言うものの、よその物差しに自分を当てはめないというその心意気やよし。われわれも瑞穂の国の民として尺寸でココちゃんの身長を語ろうではありませんか!
というわけで、ココちゃんの身長154cmを換算すると…5尺と…3/4寸…!?Google先生によると、これで「1.53787879 メートル」、約154cmですよ!なんと5フィート3/4インチとほとんど変わらないじゃないですか!
これはあれですね、国や人種が違っても、物差しつまり価値観は共有できるのだということを、ココちゃんは身長を通してわれわれに伝えていたのですよ…!さすがは愛を語るゴリラのココちゃん、われわれもココちゃんから学びましょう!
…まあ、間違いなくただの偶然なんでしょうけど…。
大きさがほぼ同じなのは偶然ではないのです。じつは。
ゴリラには手話を教えられるけど、クジラやイルカとも意思疎通できないものかなと思いますね。
話すとされるイルカはPhoenixやAkeakamaiなど何匹かいるみたいですね。というかこの業界、犬やら象やらほぼ何の動物でも話すとされるのがいるようです。オウムにいたっては英国のBBCも取り上げたテレパシーが使えるのもいるみたいですよ! (とは言うもののBBCは不正確な事実という理由で記事を取り下げましたが)
さらにミツバチなどの虫がお互いにコミュニケーションをするという話は分かるのですが、大腸菌のようなバクテリアですら化学物質を使ってコミュニケーションしているらしいというのが最近の研究で分かってきたそうです。本当にわけの分からない時代になってきました…。
感謝
僕もベジタリアンですが、動物はやっぱり食べ物じゃないってすごく思いました。
人間は非常に欲深く邪悪な存在で、騙したり殺し合ったり、他の動物を滅ぼしたりするけど、ゴリラは決してその様な事をしないから…。
>※彼はただのゴリラです。
上から順番に読んでいて三段落ちのようで笑ってしまいました(笑)
もう少し拝見してじぶんなりに答えを見出そうと思います。興味深いブログをありがとうございます。